50代の趣味

何から観る?初めてのオペラおすすめ演目

おひとりさまにもオペラ女子会にもおすすめのプリマドンナオペラ

最近はあまりこういう言い方をしなくなりましたが、プリマドンナオペラとは、主役をソプラノやメゾソプラノが歌い、歌唱技術を駆使した華やかなアリアで存在感を放ち、公演の成否のほとんどを担う演目のことを言います。

例えば、前出のヴェルディ「椿姫」ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」などがその代表的な作品。

「椿姫」でマリア・カラスの相手役も務めたジュゼッペ・ディ・ステファノは「椿姫はヴィオレッタに始まりヴィオレッタに終わる、ヴィオレッタヴィオレッタヴィオレッタだ。」と言っていましたが、まさにその通りなのです。

(※ヴィオレッタは椿姫の主人公)

共演のテノールやバリトンがどんなに上手くても、オーケストラや指揮者がどんなに素晴らしくても、ヴィオレッタの出来不出来で全て決まってしまうのが「椿姫」。

完璧な歌唱と演技ができるかどうかは別にして、ヴィオレッタやルチアをレパートリーにもつソプラノは人材も豊富なため、いきなり生の舞台を観に行っても外れることは少ないでしょう。

また、これらの作品は音楽的に非常に優れた作品である上に、ストーリーもわかりやすく単純で予習いらず。初めて観る演目としてはピッタリではないかと思います。

パリの高級娼婦と年下の青年との身分違いの恋や、敵対する家同士に生まれた恋人たちの悲劇は、平成生まれにはピンとこないかも知れないけれどアラフィフ女子にはグっとくるはず。

おひとりさまでもお友達同士でも楽しめるオススメ演目です。

ご主人やボーイフレンドとの観劇なら

一緒に観に行きたいけれど、男性はなかなかオペラに興味を持ってくれない、ということが多々あります。

また「一度は妻や彼女に付き合って観たけれど、もう二度と長時間拘束されてつまらない恋愛メロドラマを観たくない」という男性の声はよく耳にします。

そこで、男性と一緒に観るときにオススメなのがワーグナーとプッチーニの作品。

この2人の作曲家に共通するのは、作品に登場する男性受けする可憐なヒロインたちと男性目線のストーリー展開です。

但し、ワーグナーは上演時間が長い上に、内容も説教クサかったり宗教クサかったりと疲れるものが多いため、演目は選びましょう。

まずは誰もが一度はその旋律を耳にしたことのある「ワルキューレ」がおすすめ。

オーケストレーションが最高にカッコ良いですから、これで感動しなかったら余程ヘタクソな演奏に当たってしまったか、聴いている方の音楽センスがゼロかのどちらかだと思って間違いありません。

プッチーニは、「蝶々夫人」「トスカ」そして「ラ・ボエーム」あたりを観に行けば、生の公演でも外れることはそうないはず。

三作品ともオペラ史に残る傑作です。ストーリーも単純明快でわかりやすく初心者向き。この三作品を観て涙が一滴も出ないなら、どこか空気の良いところで心の洗濯を。

トリノ五輪以来、プッチーニ作品の中で最も有名になった「トゥーランドット」は、個人的に何度も外しているので初オペラには敢えてオススメしません。

テノールのアリア「誰も寝てはならぬ」は余程プレッシャーがかかるのか、観客の期待に応えるパーフェクトな歌唱にはなかなか巡り逢えません。

またこの作品はプッチーニ本人が最後まで描きあげたものではありませんから、他の有名作品を観てからでも遅くはないでしょう。

それともう一つ、ヴェルディの「アイーダ」をおすすめしておきます。サッカーの応援歌としても知られる「凱旋行進曲」や、「勝ちて帰れ」など、スケールの大きな勇壮な音楽は、男性の満足度も高いでしょう。

大人女子のためのオペレッタ

レハールの「メリー・ウィドー」、ヨハン・シュトラウス「こうもり」も、オペラデビューにはもってこいの演目。

超セレブ未亡人となった主人公が、かつての恋人と結ばれるまでの紆余曲折や、倦怠期の夫婦を中心に繰り広げられる男女の駆け引きは、アラフィフ女子の妄想を掻き立ててくれるはず。

音楽は誰もが知る名曲ばかり。退屈することはないでしょう。

ロックンローラーやジャズメンを誘うなら

最近国内ではなかなか上演がありませんが、「音楽は大好きだけどオペラは苦手orダサい」と思っている友人や彼氏を誘うならガーシュウィンの「ポーギーとベス」がおすすめ。

今ではジャズの名曲となり、ロック界のレジェンド歌姫”ジャニス・ジョプリン”の名唱で知られる「サマータイム」の元曲はこのオペラの中のアリアです。

音楽好きならそのメロディーを知らないはずはない名曲の数々と感動的なストーリーで、オペラへの見方が変わるでしょう。

前回ご紹介したMETライブビューイングでは、来シーズン2019-2020にこの名作が上演されます、お見逃しのないように。

オペラブッファはオールラウンド

個人的に大好きな一押しオペラがドニゼッティの「愛の妙薬」、喜劇オペラの傑作です。

喜劇を上手く歌い演じられるオペラ歌手はそう多くありませんが、私はこの演目で一度も外したことはありません。それほど作品そのものが優れているのです。笑いあり涙あり感動あり、昭和の時代の”吉本新喜劇”を思い出します。

ご家族と一緒に、友人同士で、カップルで、誰と行っても楽しめること請け合いです。

モーツァルトでオペラデビュー

前回、初オペラにモーツァルトを選ぶことを全否定しましたが、とはいえ日本人にとってモーツァルトは特別な作曲家です。特に、純粋に芸術や音楽を楽しむというより教養を深めるためのオペラ観劇であるなら、初オペラのモーツァルトは悪い選択ではありません。

そこで、モーツァルトの四大作品のうち、「魔笛」「フィガロの結婚」をおすすめしておきます。

登場人物が多く細かい芝居が多いので、生で観るときは字幕と舞台がよく見える席を選びましょう。私的には最初は映画や映像で観て、それから生の舞台を観に行くことをおすすめします。映像に残る公演の方がハズレを引く確率もグンと低くなります。

この二作品を観て何も心に残らなかったら、それはあなたのせいではなく演奏者のせいです。再トライして下さい。

教養のための初オペラ

最後に、世界で最もポピュラーなオペラ、ビゼー「カルメン」を挙げておきましょう。教養のための、と題したのは、あまりに有名なこの作品を観ずしてオペラを語ることはできないから。

でもこのオペラ、主役のカルメンと闘牛士エスカミーリョに抜群の歌唱力と特別な存在感が求められ、加えてカルメンには、色気と(できれば美貌と)高い演技力も要求されるため、なかなか理想の生公演に巡り逢うのは難しい。

「これなら映像で観た方が良いな。」と思うことが多いのです。序曲などは有名すぎて、ちょっと演奏がヘタだと物凄くガッカリしてしまうことも。

でも、主要な登場人物は四人、ストーリーは至極単純、予習の必要は全くありません。理想の公演は遠いが大きく外れることも少ないのでおすすめです。

初めてのオペラおすすめ演目まとめ

女子の鉄板

  • ヴェルディ「椿姫」
  • ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」

男性にもオススメ

  • ワーグナー「ワルキューレ」
  • プッチーニ「蝶々夫人」「トスカ」「ラ・ボエーム」
  • ヴェルディ「アイーダ」

大人女子のオペレッタ

  • レハール「メリー・ウィドー」
  • ヨハン・シュトラウス「こうもり」

ミュージシャンを誘って観たい

  • ガーシュウィン「ポーギーとベス」

喜劇を観るなら

  • ドニゼッティ「愛の妙薬」

モーツァルトで初オペラ

  • モーツァルト「魔笛」「フィガロの結婚」

教養のための初オペラ

  • ビゼー「カルメン」

国内の主なおすすめ公演(2019年5月~10月)

~舞台情報~
英国ロイヤル・オペラ2019年日本公演2019/9/12~9/23
グノー《ファウスト》
ヴェルディ《オテロ》
https://www.nbs.or.jp/stages/2019/roh/index.html

新国立劇場
モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》2019/5/17~5/26
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/dongiovanni/
プッチーニ《蝶々夫人》2019/6/1~6/9
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/madamabutterfly/
プッチーニ《トゥーランドット》2019/7/18~7/22
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/turandot/

藤原歌劇団
https://www.jof.or.jp/performance/
ドニゼッティ《愛の妙薬》2019/6/29~5/30
https://www.jof.or.jp/performance/1906_lelisir/
ロッシーニ《ランスへの旅》2019/9/5~9/7
https://www.jof.or.jp/performance/nrml/1909_reims.html

二期会
http://www.nikikai.net/lineup/herodiade2019/index.html
プッチーニ《蝶々夫人》2019/10/3~10/6
http://www.nikikai.net/lineup/butterfly2019/index.html

~シネマ情報~
METライブビューイング
ワーグナー《ワルキューレ》2019/5/10~5/16全国公開
https://www.shochiku.co.jp/met/program/860/

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2018/19
グノー《ファウスト》2019/6/14~6/20全国公開
http://tohotowa.co.jp/roh/movie/?n=faust

ABOUT ME
中野由紀子
中野由紀子
オペラ鑑賞歴約30年。何よりもオペラを愛してやまないアラフィフ・オペラオタク。日本大学芸術学部文芸学科卒。会社員・ゲームシナリオライターを経て、現在はエイジングケアブランド「SECOND SEASON」をプロデュースするなど美容家としても活躍。2015〜2017ミスユニバース・ジャパン ビューティーキャンプ講師/2018年ミス・ユニバース香川大会審査員/「映画の中のヘアメイク」講師/著書『首美人革命』