50代の趣味

アラフィフの快楽「オペラ」をたしなむ ―初心者のためのオペラ・入門編―

オペラは心の美容液、オペラはこの世で最高の芸術です。

かつて、一流のオペラを観るには、目の飛び出るような高額チケットを買い求めるか、さもなければヨーロッパやアメリカの歌劇場へわざわざ足を運ばなければならない時代がありました。

しかし20年前には新国立劇場が完成し、本場さながらの上演を比較的安価に観ることができるようになりました。また近年では映画館で、世界の一流歌劇場の公演を臨場感溢れる音と映像で気軽に観ることができるようになっています。

対訳表を片手に、レコードやCDを聴いていた古いオペラファンからすると、今は夢のように恵まれた環境。若い頃に観劇のチャンスを逃してしまったというアラフィフ世代も、今こそオペラを楽しみましょう。

オペラの楽しみ方

声と歌の競演を楽しむ

それなりの公演でメインを歌うオペラ歌手たちは、並外れた声と歌唱技術を持っています。オペラの醍醐味は、このオペラ歌手たちの声と歌の競演なしには語れません。

オペラ歌手は音楽家であり芸術家であると同時にアスリートであると言ってよいでしょう。鍛え抜かれた声と歌唱技術により生み出される歌の芸術に酔いしれるのは、オペラ鑑賞最大の悦びです。

指揮の芸術とオーケストラ

演奏全体の出来を左右するのは、指揮者であると言って良いでしょう。

指揮者の音楽性、芸術性、そして人間性までもが演奏に全て反映されます。指揮者の格やキャスティング能力でソリスト(歌手)が決まることも多々あります。

好みのスタイルの指揮者をみつけて指揮の芸術に浸り、贔屓にするのもオペラの楽しみの一つです。

指揮者のしもべとなって演奏するオーケストラにも、技術の差も個性もあります。

例えば、ウィーン国立歌劇場で演奏するウィーンフィルハーモニー管弦楽団は、優雅で芳醇に香るような独特な音を持っています。歌劇場伝統の音を楽しみましょう。

豪華なセットと衣装

オペラの舞台と言えば”豪華絢爛”というイメージを持つ方も多いでしょう。演出にもよりますが、予算のある劇場のセットや衣装は見応えがあります。

大手アパレルメーカーの顧問デザイナーを務める友人は、やはり衣装が一番気になるよう。2018年秋に来日したローマ歌劇場の引越し公演でも、「椿姫」のヴァレンチノの衣装がお目当て。しっかりチェックしていました。

新国立劇場の「アイーダ 」は巨匠「フランコ・ゼッフィレッリ」が演出、舞台装置を手がけています。新演出になる前に一度は観ておきたいですね。

物語と演技演出

私個人が、歌手の出来の次に気になるのが演出家の作品への解釈です。若い頃シナリオを書いていたせいか、私は演出家目線で観ていることが多いよう。

オペラの演出は、映画監督や演劇界ミュージカル界の新進気鋭の演出家たちが担うこともあります。

彼らが古典をどのように理解しオペラの舞台を作っていくのかを観るのもまた楽しみの一つです。

オペラ観劇のマナー

どんな服装で行けば良いの?

映画館で観る時は普段着で構いませんが、劇場へは少しお洒落して出掛けましょう。

特に一階の平土間や二階席(S席やSS席)では、通常の公演でもワンピースやスーツ相当のお洒落着で行くと気分も上がります。

清潔であれば、普段着でも大きな問題はありません。

海外歌劇場の引越し公演初日や、シーズン開幕の初日、新演出公演の初日は、VIPやセレブも多く訪れます。お着物やロングドレスを着ても良いでしょう。無理のない範囲でお洒落を楽しんで下さい。

但し、ジャラジャラと音を立てるアクセサリーは厳禁。裾の広がったドレスやスカートなどは、お隣りの席のご迷惑にならない範囲かどうかチェックして。

厚手のジャケットやコートは音響が悪くなる原因になったり、衣擦れの音が周囲のご迷惑になることがあります。必ずクロークに預けるようにしましょう。

オペラの公演は長時間に渡るため、着物やドレスを着用の際は帯やコルセットで締め付けすぎないように注意しましょう。

また、香水のつけすぎも周囲の迷惑になりますので控えめに。でも、年配女性の汗のニオイは意外に気になるものです、清潔にして出かけるのは言うまでもありませんね。

観劇中のマナー

演奏が始まったら、シートに背中をつけて座り、身を乗り出さないようにしましょう。後ろの席の視界を遮ぎってしまいます。

劇場やホールでの上演中の飲食、私語は厳禁です。

映画館であっても、演奏が始まったら食事は控えましょう。飲み物は、拍手の間やインタビュー映像などの間に飲むようにします。氷入りの飲み物もガラガラと音が出るため避けるようにしましょう。

また、紙袋やレジ袋などのカサカサという音や、バッグをガサゴソと探る音は意外に響くもの、周囲に大変迷惑です。気をつけるようにしましょう。

携帯電話の電源を切ることも忘れずに。

拍手やブラボーのタイミングは?

最初の拍手のタイミングはオーケストラピットに指揮者が入ってきた時です。

あとは、

  1. 序曲が終わったあと
  2. アリアや重唱のあと
  3. ひと幕ごとの終了時
  4. カーテンコール時

などが拍手のタイミングです。

ブラボーも同じです。指揮や演出の関係上、拍手のタイミングがない場合もありますので、慣れないうちは周りに合わせていれば大丈夫。

周りが拍手していても、良くなかったと感じたら拍手する必要はありません。逆に、素晴らしいと感じたら「ブラボー」(イタリア語)のかけ声を。

  • 男性にはbravo! ブラーヴォ!
  • 女性にはbrava! ブラーヴァ!
  • 複数奏者にはbravi! ブラーヴィ!

と、声をかけて賞賛の気持ちを表しましょう。

観劇前の予習は必要?

傑作であればあるほど予習は必要ありません。

優れた作品はリブレット(オペラ脚本)と楽譜が一つになり、音楽が全てを語り表現してくれるからです。歌い手や奏者が素晴らしければ尚更のこと、理屈ではない部分で心揺さぶられるはず。

私は、初めての演目でも予習をして観に行くということはほとんどありません。当日パンフレットであらすじや見どころを読む程度です。

友人の中には、生の公演は充分に作品を知ってから行きたいという人もいます。字幕を追うのに必死で音楽を聴く余裕がないからと言うのです。

そういう方は事前に登場人物とあらすじをしっかり覚えて、DVDなどで作品を観るなど内容を理解してから劇場へ行った方が落ち着いて観られて良いかも知れませんね。

でももし途中で話がわからなくなったりしても慌てず、ただ音楽に身を委ねましょう。

観劇後に復習しても遅くはありません。むしろ、予習より復習の方がお勧めです。気になったことを調べて、心に残ったアリアはCDなどでもう一度聞き直してみて下さい。

次に観る機会にはまた違った感想や感動に出会えるはずです。

便利グッズ

ポーチや小さめのバッグ

オペラの観劇は長時間に渡るため、ハンカチやティッシュ、財布など、必要なものだけを小さめのバッグやポーチに入れて、重い荷物はクロークに預けておくと休憩時間も楽に移動できます。

オペラグラス

国内の主要なホールでは貸し出ししてくれますが、自分専用のものを一つ持っているのも良いですね。女性が趣味の良いオペラグラスを取り出して観劇する姿は、エレガントで素敵です。

マスク

シートに座った時に、意外に気になって観劇の妨げになるのが「臭い」です。

隣の席からアルコール臭がしたり、年配男性の加齢臭などに悩まされて全く集中できなくなることがありますので、アロマの香りなどを移したマスクを1枚用意しておくと役立ちます。

のど飴とお水

観劇中に何度も咳払いする方や、咳が止まらなくなる方がいて、若い頃はいぶかしく思っていましたが、50才を過ぎると他人事ではなくなってきます。

昔は被害者だったのに、油断していると今度はこちらが加害者に。

すぐ取り出せる場所にのど飴とペットボトルのお水を入れておくと安心ですよ。

オペラチケットの取り方

チケット情報

オペラのチケットは、「チケットぴあ」「ローソンチケット」「e+(イープラス)」などの各プレイガイドで取り扱いがあります。

チケットぴあ
https://t.pia.jp/

ローソンチケット
https://l-tike.com/concert/mevent/?mid=278691

e+(イープラス)
https://sp.eplus.jp/sys/main.jsp

また、各劇場ホールのホームページ、窓口でも取り扱いがありますので気になるチケットがあったら問い合わせてみましょう。

新国立劇場
https://www.nntt.jac.go.jp/sp/opera/

東京文化会館
http://www.t-bunka.jp/index.html

席の選び方は、各ホールの構造や趣味嗜好によって変わってきますので、また機会があれば解説したいと思います。

オペラシネマ情報

日本国内で毎シーズン上映を行なっているのは、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場(METライブビューイング)とロンドンのコヴェントガーデン(英国ロイヤル・オペラ・ハウス)です。

詳しい情報は各ホームページでチェックして下さい。

METライブビューイングは毎年シーズンが終わると夏に再上映があり、ディスカウント価格で観ることができます。

METライブビューイング
https://www.shochiku.co.jp/met/

英国ロイヤル・オペラ・ハウス・シネマシーズン
http://tohotowa.co.jp/roh/

何から観れば良いの?

ここまで読んだら観劇の準備は万端、もういつでもオペラを観に行く態勢は整いました。でも最初は何から観たら良いのでしょう?

私は時々、お食事と観劇を楽しむ「オペラ鑑賞会」を主催させて頂いたり、「オススメの公演に連れて行って」と声がかかることがあるのですが、初オペラ体験の方をご案内するときは、毎回本当に悩みます。

一般の知名度は低くても、キャストによっては初オペラ向きの作品もあります。また、有名な作品であれば初オペラ向きかというとそうとも限らないのがオペラ。

例えば、モーツァルトの「フィガロの結婚」や「ドン・ジョバンニ」。アラフィフにもなれば一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

でも、生の公演は特にですが、初オペラにモーツァルトは危険な選択です。

上記の2作品は上演時間が長い上に、休憩は一回しかなく、指揮者やソリストが一流でないと恐ろしく退屈でつまらない演奏を聞かされることになります。また細かい芝居が多く、席が遠いと何をしているのかほとんど見えません。

ことオペラに関しては、チケット代に見合わない公演も多く上演されています。

私はまだ鑑賞歴も浅くお金もない20代に、3万円4万円とするモーツァルトで何度煮え湯を飲まされたかわかりません。当時はチケットのために食費を削り、おかげでダイエットせずとも痩せていました。

というわけで、私が勧めるからには、初オペラは絶対に失敗させたくありません。

これまでも、オタクのプライドにかけて、一発でオペラの魅力の虜になってしまう”これぞ”という公演を案内してきました。

ジューン・アンダーソンがヴィオレッタを歌った「椿姫」(ヴェルディ)や、エディタ・グルヴェローヴァがルチアを歌った「ランメルモールのルチア」(ドニゼッティ)など、日本のオペラ上演史に残る名演に友人知人を案内してきました。

その素晴らしさに圧倒されなかった人は一人もいません。

公演帰りの車中でヴィオレッタのアリアをうる覚えでずっと歌って、皆に煩がられた男友達もいました。興奮を抑えきれなかったのでしょう。

と、前置きが長くなってしまいましたが・・・・・・というわけで次回の「初心者のためのオペラ・入門編」では、初心者のためのお勧めオペラについて、近日上演の公演情報などと共にお届けしたいと思います。

楽しみにしていてくださいね。(中野由紀子)

ABOUT ME
中野由紀子
中野由紀子
オペラ鑑賞歴約30年。何よりもオペラを愛してやまないアラフィフ・オペラオタク。日本大学芸術学部文芸学科卒。会社員・ゲームシナリオライターを経て、現在はエイジングケアブランド「SECOND SEASON」をプロデュースするなど美容家としても活躍。2015〜2017ミスユニバース・ジャパン ビューティーキャンプ講師/2018年ミス・ユニバース香川大会審査員/「映画の中のヘアメイク」講師/著書『首美人革命』